渋谷シネマアンジェリカでの「マイマイ新子と千年の魔法」の上映もそろそろ終わった頃ですね。
今日は、最終と言うことで監督も舞台あいさつに来るとの事で、
行ってみようかと思っていたのだけれども。
両親が沖縄旅行、姉は中野桜まつりへと行ってしまい、
家の留守を三匹の猫たちと守らなくちゃいけないので、
大人しく先週借りてきたビデオでも見ながら過ごすことにします。
話題は変わって。(その実、あんまり変わっていないけど)
今週の水曜日、「署名の案内」チラシの回収がてらに5回目の「マイマイ新子」を見に行ってきました。
……母連れで。
24才成人女性と、56才マダムの二人連れでも、
世間的には“親子連れ”というのだろうか……。
そんなことを思いながらの5回目。
サービスデイだから、早めに整理券貰わなくちゃ!と、1時頃にチケットを買った時には、
番号も1ケタで「安い日なのに不入りなのかな?」と不安になったものの、
開場前には結構な数の人が集まっていてホッとしました。
昼の回に友達と見に行った姉の話によると、昼も同じくらい人が入っていたとのこと。
なんだかんだ思い返してみると、
私が一番初めに板橋で見たとき以外、全ての回で人に囲まれていた気がします。
12月の頭に、私が初めて「マイマイ新子」を見た劇場内には、
私と、中年の男性、きれいなOL風のお姉さんの、たった3人しかお客さんはいませんでした。
……なんだか、ものすごい遠い日の出来ごとにしか思えません。あれから、半年も経っていないのに。
さて、話は変わって。
今回、母を連れていったのには一つワケがあります。
正直に言うと、「私が入れ込んで、活動してきたほどの価値がある映画なのか」を確認したかったからです。
いまどき珍しいくらいに、ストレートに子どもの生活を描いた素晴らしい映画、だと私は思う。
でも、それは私以外にとってもそうなのだろうか。
私だけではなくとも、いま、盛り上がっている一部のファンたちにだけ素晴らしい映画なのではないか。
……この映画が好きだと思う気持ちが、自分の子ども時代とものすごく密接な関係にあるせいか、
たまに、「マイマイ新子」という作品に対し、変な猜疑心を持ってしまうことが、
おそらく、この映画を応援している人には1度や2度あると思います。
人に署名を頼む時に、散々っぱら「良い映画なんだけど!」と、行ってきた癖に今さらな気もするけれども。
上映が決まり、
宣伝活動に移っていく段階の今だからこそ、
そのことが気になった、と言えばいいのかなんなのか。
うちの母は、普段アニメは見ません。
私が子どもだった時には一緒にジブリ映画を見に行ったり、
「世界名作劇場」や「YAWARA!」や「おぼっちゃまくん」「クレヨンしんちゃん」なんかを見ていたくらいです。
ただ、昔から子どもの本や単館などでやるいぶし銀な映画が好きであるということ。
昭和30年代の空気を知っている、
「赤毛のアン」に憧れた世代の母が、「面白い」と言ってくれるかどうか。
自分ひとりや友達と見に行く時にはない、奇妙な緊張感を持って今回は観賞しました。
(うちの母は、昭和30年当時の年齢だと、
初めて新子さんが貴伊子の社宅に来た時に紙芝居が見たいと親にねだっている女の子と一緒ぐらいです)
結果はと言うと。
まず、最初の光子の「おねーちゃんが、キューピーさんの腕もいだー!」で笑い、
新子さんの「おーよしよし! かいゆいとこはないか、かゆいとこはないか!」で笑い、
チョコレートボンボンが出てきた瞬間に「酔っ払っちゃう! 酔っ払っちゃう!」と小声ではしゃぎ、
光子の迷子の下りで「メイちゃん……」と、謎の言葉をつぶやき、
決死隊の「なんまんだー、なんまんだー」で吹き出し、
その後、いやに静かになったと思い横目で見ると涙をぬぐっていたりと、
なんというか、
大好評でした。
帰宅後、
どの辺がよかったのかと聞くと、
「生活がキッチリ描写されていたこと」
「話のラインがすっきりしていたこと」の主に二つとのこと。
正直、この感想には驚いた。
生活描写、というのは分かるとして、話のラインがすっきりしている、というのは予想外。
話を詳しく聞いてみると、
「こういう映像を見せたいとか、感動させたいとか、
そういうことに、こだわってないからいいのよ。
出てくる人の感情が、変にぶれないから、見てて分かりやすいのよ」
……ちょっと、というより、かなりトリッキーな構成の映画なので、
後で「これはどういうことだったのよ!」と言われることを覚悟していただけに、
この言葉には本当にビックリした。
あと、映画が終わってからの第一声。
「分かった、これはアレね。
要するに、『やかまし村』と『ちびまる子ちゃん』と『トトロ』なのね。
あと、『クレヨンしんちゃん』も入ってるわね! ていうか、結局、みんな同じなのね!」
この言葉の謎も解けた。
発言を劇場で聞いた時は「おかあさん、『ちびまる子』って髪型と、服装だけでしょ!!!」と突っ込んだけれど、
挙げられた四つの作品は確かに、『マイマイ新子』と同じ、子どもが主体の世界を描いている。
時代も、登場人物の背景も全部、違うけれど、描かれているのは全て子どもの世界である。
千年後どころか、作品までまたいで「同じものを描いてる!」と言いきった母。
「母は、この映画、そないに重く受け止めたか……」
思わず、新子さんのおじいちゃんの物真似をしつつ唸ってしまう。
(使い方間違ってるけど)
そんな母を見ていたら、
ついでに、自分も初めて見た時に感じたことを思い出した。
「この映画は、本当に久しぶりに丁寧に作られた子どもの世界の映画だ」
「本当によい児童作品とは、かつて子どもであった経験を持つ人ならば誰でも楽しめる作品のことだ」
と、いうのは誰の言葉かは忘れたけれど、
56歳の母が、無邪気に笑っていた姿を思い出すと、
自分のあの時の確信と、だからこの映画を応援しようと思ったのは、
やっぱり間違いじゃなかったんだと、思った。
最後に、私の5回目感想。
・「おかあさんのこと、もう思い出さないようにしよう」って貴伊子は口に出してないことに初めて気づいた。
・夏制服のブラウスの襟が新子さんと貴伊子で違うのは、スカート以外は自前で用意してるってことなんだろうなぁ。
・シゲルが好きだ。特に、池で貴伊子に謝られて照れくさくて草をぶちぶちむしっているシゲルが。
・そしてやっぱり、一瞬だけ出てくる吉岡さんのスマイルが好きだ。
・「SING」を聞くと無条件に涙が出てくる体質になった自分にビックリ。
大体、こんな感じでした。
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